幻のモチトウモロコシを栽培したら、交雑して妙なものができた

    野菜栽培日記
    07 /28 2018
     米にもち米があるように、トウモロコシにもモチトウモロコシがあります。普段我々が目にするトウモロコシは、うるち系ということなんですね。でも私の記憶する限りでは、日本でモチトウモロコシを売っているのを見たことがありません。地方によっては、販売所に並ぶこともあるのでしょうか?いずれにせよ店で買えないのであれば、自分で栽培するしかありません。というわけで、今年はもちとうもろこしの栽培に挑戦しました。

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    こちらがモチトウモロコシの種です。

    マニアックな品種ゆえ、どこにでも売っているわけではないようです。私は、愛知県幸田町にある野菜直売所で種を見つけ、購入しました。モチトウモロコシには、黄、白、黒と3種類のラインナップがあるそうですですが、ネット情報によると、白モチトウモロコシが最もモチ種としての特性が強いということですので、どうせやるなら、と白を選択しました。

    なぜモチトウモロコシにこだわるのかというと、以前海外で似た品種を食べてそのインパクトが大きかったからです。



    北米の中華マーケットで出会ったモチトウモロコシ


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    さて唐突ですが、話は1年前にさかのぼります。私が初めてモチトウモロコシに出会ったのは、出張で訪れたアメリカでした。滞在先のホテルの近くに中華マーケットがあり、そこで冷凍のモチトウモロコシを売っていたのです。


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    それがこちら。モチトウモロコシは英語でwaxy corn(ワキシーコーン)と呼ぶらしいです。「糯(もち)」という漢字も入っているので、それとわかります。


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    電子レンジ対応でも調理可ということで、お手軽で助かります。


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    これが調理した状態の商品です。黒い粒が混ざるのが独特ですね。オフィスで昼休みの間にこれを食べていたところ、現地スタッフから、

    「何それ!食べたらヤバイんじゃない?」

    と驚きの声が上がりました。確かに、黄色と黒の組み合わせは「警告」を連想させますし、黒カビと誤解される可能性もあります。アメリカでもあまりポピュラーな食品というわけではなさそうです。

    食べた感想ですが、おなじみのスイートコーンよりもずいぶん肉厚で食べ応えがありました。甘味は控えめです。もうこれは別の野菜ですね。これまで信じていたトウモロコシの常識が覆された感じです。

    これで終わりにしても良かったのですが、どうせなら日本の在来種も試したい、周りの人ともこの驚きを共有したい、ということで栽培を決意しました。




    白モチトウモロコシの栽培


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    というわけで、今年は実家の畑の一部分を借りて白モチトウモロコシ栽培です。といっても、たまにしか帰省しないため、植えつけてからの管理は任せっきりでしたが・・・

    面白いのは、根元がやや紫がかっていることです。


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    さらに、ひげもヤングコーンの段階から紫色がかっていました。左がスイートコーンのひげ、右が白モチトウモロコシのひげです。ただし、モチトウモロコシでも全てが紫というわけではないようで、不思議です。


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    7月。無事に収穫の時期が訪れました。


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    収穫直後の様子。短かったり歯並びが悪かったりはありますが、割と大粒でふっくらしています。これは期待できるのでは。


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    熱湯で7分程度茹でると、粒が半透明になり、つやつやと輝きます。ワキシーコーンと呼ばれる通り、ワックスをかけたような見た目です。なんとなく食品サンプルっぽく見えるような?


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    餅のような粘り気があるわけではありませんが、そこそこモチモチしていると言えます。粒一つ一つに存在感があり、じっくり噛んで食べるのに向いています。北米で食べたモチトウモロコシと比べると、なんとなくこちらのほうが主張の少ない味に感じます。色合いがおとなしいからそう感じるのでしょうか?

    なお、これを食べた両親の反応・・・

    「甘味は少ないけど、粒がモチモチしてるね。」

    「まあ、美味くはないな。(ボソッ」


    あら、やっぱり本音が出てしまいましたか。希少な在来品種なのですが、私みたいに珍品好きのバイアスがかかっていなければ、そう感じるのかもしれません。なお、この画像をSNSで共有したところ、ベトナム出身の方から、

    「ベトナムではモチトウモロコシが人気です」

    という情報をいただきました。意外と日本以外ではメジャーなのかもしれません。そちらの方も気になります。



    恐るべしモチトウモロコシの交雑種


    なお、実家では当初スイートコーンのみを育てる予定だったそうです。それにも関わらず、今回は並行して無理やりモチトウモロコシ栽培しました。昔から、違う品種のコーンをスイートコーンの近くで栽培するなと言われます。花粉が風に飛ばされて交雑するので、最低でも10mは離すべきだそうです。実家では10m離すのは敷地の都合上難しく、種まきの時期をずらすことで対応したのですが、それでもモチトウモロコシの花粉が一部のスイートコーンにかかってしまったようです。その結果、どうなったかというと・・・


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    これは、ある日に収穫したスイートコーンらしきもの(手前の2つ)。見た目は割と普通で、正直、白モチトウモロコより美味しく見えます。ただ、今年のスイートコーン品種はもともとバイカラーではないので、白い粒が混ざるのはおかしいです。しかも、粒全体テカテカ。どう見ても、これはモチトウモロコシの特徴です。艶やかに見えるぶん、元のスイートコーンよりもSNS映えしそうですが。

    一応期待してかじってみると、

    硬い。

    十分ゆでたにも関わらず、芯のようなものがあり、ボソボソした食感です。2つの品種が混ざり合って、その中間的な食感になるかというと、甘かったです(味ではなく、考えが)。何か別の方向に突き抜けてしまった感じがします。

    なお、これを食べた両親の反応・・・

    「白いトウモロコシの方が、まだいい。」

    「これ売ってたら苦情殺到だろう。」


    確かに、食用のトウモロコシでない感じすらします。まあ、特にお腹をこわすことはありませんでした。


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    交雑のしかたもさまざまで、テカテカな粒がまばらに混じることもありました。このトウモロコシなんかは根っこの方までしっかりしているので、粒を引っこ抜きながら食べました。歯並びもいまいちだし、まるで、トウモロコシの抜歯を手伝っているかのよう。こんな状況なので、来年再びモチトウモロコシの栽培許可が下りる可能性は低そうです。




    結論


    モチトウモロコシは、変わった品種を楽しむことを前提として試すなら十分ありだと思います。ただこれを栽培すると、花粉が飛んで周囲のスイートコーンをワックスで固めたようにしてしまうので、近所でスイートコーンを栽培している場合は配慮が必要かと思います。

    以上

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    No title

    長期間に亘る「大プロジェクト」大変お疲れさまでした。
    この記事を読んで真っ先に思い出したのが『モンサントの不自然な食べもの』というドキュメンタリー映画です。
    詳しい話は割愛しますが、この記事にも書かれているとおりトウモロコシは花粉による交雑が起きやすいので、それが元で大変な被害に遭った農家がいるという「事件」が紹介されてました。
    メキシコでは普通にみられる黒や黄色、あるいは紫などの品種も結構おいしいとの事ですが、品種的にはもしかするとモチトウモロコシなのかもしれませんね。
    私の子供の頃は地元でも紫色のヒゲを生やした品種は珍しくありませんでしたが、最近店で売られているのは殆どスイートコーンばかりになってしまったような気がしてなりません。
    また懐かしい味が食べたくなってきました。今度探してこようと思います。

    No title

    ありがとうございます。気が付いたら、発想から1年経っていました^^
    『モンサントの不自然な食べもの』はまだ観ていませんでした。今度探して来ようと思います。確かに、悪意の有無に関わらず、交雑によって被害を受けたら農家はたまったものではないですね。
    そういえば去年、北米で紫のトウモロコシチップス(名称はブルーコーンチップス)を買いました。あれはメキシコ産だったかも知れません。
    以前、北海道で食べたトウモロコシはすごく美味しかった記憶があります。スイートコーン系だったと思いますが、在来種もどんな状況なのか興味あります。

    No title

    それにしても「いい迷惑」だったのは実家のご両親だったのではないでしょうか。(笑)
    不謹慎ですが「甘かった」のくだりには大笑いしてしまいました。
    いっそのこと全てモチトウモロコシにしてしまえば問題解決、にはならないでしょうねぇ。(すみません。笑)

    店でいくらでも手に入る品種を育てても仕方ないと私は主張していますが、やはり方針は合わないようです。
    来年はおとなしくしていようと思います(>_< )

    xpucmo

    ブルガリアの言語や音楽(特にポップフォーク)を愛するあまり、現地のセミナーまで受けに行った変人。HNを現地で頂いたブルガリア名xpucmo = フリスト に統一しました。